姫路ー名古屋間の最安値の移動方法!! 「山陽電車」「阪神電車」「近鉄」だけで私鉄最長距離の姫路から名古屋へ行ってみた!!
前書き
アメリカ民謡の一つに「線路は続くよどこまでも」という曲があります。
言葉通り、アメリカという国の広大な土地にある都市の何処へでもつながっているという意味を持っているのでしょう。
この言葉、日本ではJRでのみ通用する言葉だと思っていました。
しかし、2009年の阪神なんば線開業により阪神電車が、近鉄の路線ネットワークとも繋がるようになりました。繋がった線路が姫路から神戸、大阪、京都、奈良などの関西のいたるところ、また日本の三大都市である名古屋まで同じ鉄路で繋がるようになったのです。
そもそも二大都市を私鉄で移動できる近鉄はすごいけどね!!
今回私は、姫路から名古屋まで、私鉄のみを使い移動しました。
姫路から名古屋の移動手段
西日本の私鉄路線で改札を出ずに、私鉄を三社を乗り通しで移動する人は、ほとんどいないのではないでしょうか?
ましてや、山陽→阪神→近鉄を使い姫路から名古屋へ移動する人など、皆無に等しいです。
近鉄特急の乗車券拝見時に車掌さんが驚いていたので、ほとんどいないんでしょうね
姫路から名古屋であれば、新幹線で一本ですし、ほとんどは新幹線が需要を握っているでしょう。観光需要より、ビジネス需要がほとんどでしょうし。
しかし、私鉄で乗り通すと、JR在来線より運賃が安くなります。
そして乗り換えは、向かいのホームでの乗り換えですので、そこまでしんどくはありません。
ほとんど座ってられるじゃん!!
また、名阪間は近鉄特急を使うことで、快適に移動ができます。
このように、私鉄での移動は時間がかかりますが、使いこなせば快適に移動が可能になります!!
姫路ー名古屋間の驚きの運賃&所要時間!!
姫路ー名古屋間を移動する方法として、4つの方法があります。
- 新幹線
- JRの在来線
- 私鉄乗り継ぎ
大まかに分けると、この3つになります。
高速バスは、直行便がありませんでした。
それでは、各移動方法の運賃&所要時間を見ていきましょう。
- 新幹線
乗車券4750円 特急券3340円 合計8090円
最短1時間21分 - 在来線
乗車券4750円
最短3時間46分 - 私鉄乗り継ぎ
乗車券3730円 特急料金1900円 合計4630円
最短3時間49分
このように、私鉄乗り継ぎには良い点があります
- 私鉄をうまく乗り継げば、JRの在来線とほぼ同じ時間で移動できる
- JRの在来線より快適な、有料特急を使い移動できる
- 運賃が一番安い
私鉄乗り継ぎは、乗り継ぎが悪くても大体4時間で名古屋まで行けます。
長距離の移動で20分ほどの違いは許容範囲ではないでしょうか?
これが、私鉄乗り継ぎでの移動のメリットです!!
姫路から名古屋までのルート
山陽→阪神→近鉄を使い、「山陽姫路」から「近鉄名古屋」までの総延長282.7kmの道のりを進んでいきます。
すごい長い距離ですが、一本の線路でつながっているのです。
乗車ステップ
まとめるとすごく短そうに見えますが、山陽&阪神の直通特急と近鉄特急の乗車時間は長いです。
直通特急の姫路から尼崎までの途中の停車駅が21駅ですので、無料特急の割にはかなりの距離を走ります。
また、近鉄の名阪特急はアーバンライナーで2時間弱かかります。
途中停車駅が大阪を出ると津しか止まらない速達便でさえも大阪から名古屋までは、2時間かかります。
時間を気にするなら新幹線一択ですけどね。
鉄道旅のスタート!!
関西の鉄道ファンなら一度は試してみたい、繋がった線路を走る私鉄最長距離の乗車。
この旅、いつかやりたいとずっと思ってました。
山陽姫路駅を出発(9:08発)
山陽電車の姫路駅、JRに比べるとかなり見劣りしてしまいますが、大通りから見ると駅の入り口が見た目「商業施設」なのが特徴的です。
そして、JRとは違い、駅の改札周辺がかなり暗いです。
トイレや改札といったところに昭和な雰囲気があるのも特徴的です。
今は令和だけどね!!
山陽電車!!
今回、僕を姫路から尼崎まで連れて行ってくれる電車はコレです!!
6両編成の電車で、真ん中二両がクロスシートでした
ただ、四両はロングシートでした。
クロスシートとは、JR西日本の新快速電車のような座席配列です
通勤電車でよくあるロングシートよりも乗車の快適性は抜群に高いです。
関西では珍しいドアカット(大塩駅)
関西では珍しいドアカットをしている大塩駅では、 5両編成まで対応のホームに6両編成の電車が停まっています。
僕自身、ワンマンではない大きな電車では初めてなので、斬新でした。
明石海峡大橋を眺める
大蔵谷ー舞子公園間はほぼ海の横を走ります。また、垂水駅より神戸側の線路は、山陽電車はJRよりも高い位置に線路が引かれています。ですので、JRよりも須磨の海を眺めやすくなっています。
須磨の海と、ザ・人工建造物の明石海峡大橋がうまい具合に風景として組み合わさっているのが綺麗です。
尼崎駅で阪神なんば線に乗り換え(10:35発)
阪神なんば線は、2009年に西九条ー大阪難波間が開通したことにより、難波、近鉄奈良線沿線から電車一本で三ノ宮に行くことが可能になりました。
近鉄奈良線沿線の住民の意見を聞くと、「神戸に行くのに便利になった」と言う人が多いですね!!
ホームの向かいで乗り継ぎ
僕が思ったのは、乗り継ぎが便利すぎる点です。
ホームの向かい側に電車がとまっているので、かなり楽に乗り換えることが可能です。
ただ、本線を走ってきた特急はドアを開けるとすぐに締めて発車するので、そこには注意しないといけませんね...
大阪難波で特急(アーバンライナー)に乗り換え(11:00発)
近鉄って、いろいろなところを結んでいるので、発車案内を見るだけで楽しいですよね。
ここから約2時間、特急電車一本で名古屋に着きます。
青春18切符がバカバカしく見えてくる...
18切符は18切符でいいところあるじゃん!!
日本全国の在来線に乗れるし!!
※青春18切符は日本全国の在来線普通・快速列車自由席以外にも、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーに乗車可能です 。
アーバンライナー・プラスだった!!
アーバンライナーには2種類あり、「ネクスト」と「プラス」に分かれます。
ネクストの方が新しいのですが、プラスも改修工事を受けており、設備面での差はありません(モーターが違う点のみ)
アーバンライナーのフォルム、かっこいいですね!!
ちなみに、アーバンライナーは510円を課金すると、デラックスシートといい、グリーン車のようなシートの座席に変わります。また、コンセントもついています。
近鉄特急は、アーバンライナーの普通席のみコンセントがついていないんですよねー
ちなみに、車内にある、電光掲示板は新しかったです。
近鉄甲特急の通過駅の数
近鉄の特急には、甲特急と乙特急という、2種類に運用上分けることができます。
この甲と乙の違いは、順位を表していますので、停車駅の数ですね。
甲特急は、大阪の「鶴橋」を出ると三重県の「津」まで止まりません。
ですので、奈良県内は素通りしていきます。
また、ここまで停車駅が少ないと、120km近くノンストップで走り続けることになります。
この停車駅間距離は、日本国内の私鉄の中では一位の長さなんです。
JRのサンダーバードは、京都から福井(148km)まで止まらないけどね
また、数年前までは鶴橋を出たら名古屋まで止まらない「名阪ノンストップ特急」的なのもありました。
乗り間違えたら悲惨なことになりそう...
また、アーバンライナーが鶴橋から津までの間の52駅を通過するということは、近鉄がこれに力を入れていることが窺えます。
大阪府内の風景
アーバンライナーの通過していく場所は、下の路線図を見てもらってもわかる通り、多種多様です。
地下トンネルから出ると、大阪の雑居ビル群の中の複々線に出てきます。
鶴橋駅は、コリアンタウンがあることで有名です。
駅に普通の電車が止まると、電車内に焼肉の匂いが入ってきます。
これは飯テロですよね!!
鶴橋駅を出ると、布施まで複々線ですので、近鉄電車が並走しあいます。
色々な方面へ向かう電車が走っているので、冒険心をくすぐられます。
布施駅で奈良線と別れると、大阪線はおおさか東線をオーバーパスします。
オーバーパスした後に、高架線から地上に戻ります。
地上からの景色は、一気に住宅地に変わります。
そして、また高架線になります。
沿線の建物よりも少し上あたりを走っていきます。
近鉄八尾駅を越えたあたりから、もう一度地上区間を走行します。
移り変わりの激しい景色
大和八木を超えると、右手に山が見えてきます。
また、さらに進んでいくと本当に山の中に入ります。
樹々の中を近鉄特急が疾走して行く様子は、文明と自然の融合が美しく映えているようで印象的です。
また、途中ポツポツと町が出てきます。
町の沿線に広がる田園風景も印象的です。
町に出たと思うと、また森の中に入り、また町に出るような、こんな繰り返しが続きます。
大阪方面は爆速!!新青山トンネル
地図を見ると良くわかると思うのですが、近鉄の西青山駅ー東青山駅の間に、新青山トンネルというトンネルがあります。
このトンネルは、全長5652mに及ぶ、私鉄の中では最長のトンネルです。
このトンネル、本当に線路がまっすぐですので、近鉄の中では唯一、上り線のみ特急が130km/h運転を行っている区間でもあります。。
トンネル内部は、完全な直線となっており、また西青山駅から東青山駅へ向かって22‰の下り勾配となっているが、途中に東青山変電所があるため、その部分(約80m)は明かり区間となっている。また、東側に隣接する垣内トンネルを含め全長7kmに及ぶロングレールが敷かれている。
上り勾配方向(大阪・京都行き)の一部の特急列車で130km/h運転も実施されている(伊勢・名古屋方向へ向かう列車は下り勾配による制動距離の関係で特急列車は105km/h、快速急行以下の列車は95km/hに制限されている)。
関西の私鉄で130km/h運転を行っているところは、近鉄だけなんです!!
新青山トンネルを出ると、もう一度トンネルに入ります。
何個かトンネルを抜けると、平野に出てきます。
トンネルを抜けた先には?
トンネルを抜けると、のどかな田園風景が漂う平地に出ます。
ドラマに出てきそうなこの景色は、最高です。
急に減速!?中川短絡線
中川短絡線は、伊勢中川駅でのスイッチバックを解消するために作られた、近鉄名古屋線と大阪線を結ぶ短絡線です。この短絡線ができる前は、伊勢中川駅で電車のスイッチバックがありました。
この短絡線までは、線路は直線ですので電車はかなりの速度を出します。
しかし、この短絡線に近づくと、急に減速を開始します。
なぜなら、この短絡線は急カーブでできており、半径200mの円弧サイズです。
ですので、速達面では、スイッチバックと短絡線ではほぼほぼ違いがありません。
伊勢中川駅で座席を入れ替えずに済むので、手間が省けて快適です。
ゴールはすぐそこ「近鉄名古屋」
JRの関西本線、あおなみ線を横に、近鉄の線路は地下に潜ります。
かなり強引な設計なのか、トンネルの壁が電車の壁面のすぐ隣にあります。
そんな作りを尻目に、アーバンライナーは近鉄名古屋に到着しました。
日本の経済圏同士を結ぶ近鉄、名古屋到着とともに、感慨深い気持ちになりました。
「近畿」の鉄道会社が「中京」に構えたターミナル、近鉄名古屋駅
近鉄は、「近畿日本鉄道」という社名の通り、近畿に籍を置く会社です。
しかし、名古屋でも立派な地下駅ができています。
横の名鉄名古屋駅より大きいという...
4面5線でできており、この駅から特急は、伊勢志摩や大阪を結びます。
そう考えると、近鉄は名古屋より西、大阪より東にある街の需要を掴んでいるのではないでしょうか?
まとめ
僕が思ったことが3点あります
1.津→名古屋間の近鉄のシェアは?
近鉄名古屋線は電化で全線複線ですので、かなりの本数が走りますが、横を並走するJRは、ほぼ単線&非電化ですので、名古屋→津までのシェアも、近鉄が握っているのではないでしょうか?
2.姫路ー大阪間の直通特急にトイレをつけてほしい
これは、僕が単純に思ったことです。
直通特急は、停車駅間距離が短いので「トイレに行きたければ降りろ」ということなのでしょうが、電車内で腹痛に悶え苦しんだ僕は、トイレをつけてほしいとおもいました。
(突発性のやつだったので5分くらいで収まりましたが...)
3.近鉄半端ないって
路線ネットワークの広さ
近鉄は、名古屋や大阪、京都といった都会にターミナルを持っています。そして、そこから奈良や津、伊勢、四日市などの街をつないでおり、近鉄の凄さを改めて実感しました。
いろいろな街をつないでいるので、1日に有料特急が約400本運転されています。
数字で近鉄のネットワークの大きさを理解できるのではないでしょうか?
この運行本数は、東海道新幹線の一日の運行本数を上回ります。
ちなみに、東海道新幹線は1日に308本なんだってー
安い特急料金
そして、一番驚いたのは、特急料金の安さです。
大阪から名古屋まで、特急料金は定価でも1900円なので、距離の割に安過ぎないかと、心配になるレベルです。
つまり、特急で4260円で名阪間を移動できるのです。
電車の快適性と運賃、所要時間を加味すれば、高速バスや新幹線よりも、名阪間の一番ジャストな移動方法なのではないでしょうか?
2時間あったら寝れるからねー
締めくくり
このような旅を、鉄道ファン以外の人にも試してもらいたいです。
鉄道というのは、単なる移動手段に過ぎませんが、通過する地域それぞれの特色を、「景色」によって掴むこともできます。
また、車を運転するときと違い、景色を楽しむことだけを集中することができます。
特に、名古屋ー大阪間の近鉄特急などは、新幹線より高くなく、大阪の中心地から電車が出ているので、観光にも使うことができます。
また、青春18きっぷなどを使うと、一日あたり2370円で大阪から仙台まで移動できますし、鉄道での移動は二酸化炭素排出量が自動車の1/10に抑えることができます。
時間はすごくかかるけど、財布にも環境にも優しいんです。
ですので、鉄道ファンでない方々も、移動手段はもちろんのこと、旅に彩りを加える交通手段として、鉄道での旅行を僕はオススメします!!